猫が吐いて動物病院に行くと、「いつから吐いていますか」「何回くらいですか」と聞かれます。家では見ていたはずなのに、診察室で聞かれると意外と出てきません。
NekoLog を作ったきっかけも、これでした。動物病院で「最近どのくらいの頻度で吐いてますか?」と聞かれて、「えーっと、たまに?」としか言えなかったことがあります。
この記事では、動物病院や獣医系の大学、獣医師会の会誌、獣医師による電話相談サービスなどが公開している情報をもとに、猫が吐いたときに何をメモしておくと獣医師に伝えやすいかをまとめます。吐いた原因や、病院に行くべきかどうかの判断については書いていません。気になることがあるときは、かかりつけの獣医師に相談してください。
なお、コーネル大学の猫の健康センターは、週に1回より多く吐く場合や、元気がない・食欲が落ちている・吐いたものに血が混じる・下痢もあるといった様子が見られる場合は、速やかに獣医師に診てもらうよう勧めています[1]。
診察は、飼い主の話を聞くところから始まる
米コーネル大学獣医学部の猫の健康センター(Cornell Feline Health Center)は、猫がたびたび吐く原因を調べるときは、飼い主からの詳しい聞き取りに始まり、診察、血液検査や便の検査へと進む、と説明しています[1]。家での様子を知っているのは飼い主なので、その話が最初の手がかりになります。
東京・中野区の東中野アック動物医療センターも、吐いた時間・回数・吐いたものなどを事前にメモしておき、受診のときに獣医師に伝えるよう案内しています[2]。
メモしておくといいこと
動物病院や獣医師の電話相談サービスが公開している記事で挙がっている項目を並べると、おおよそ次のとおりです[2][3][4][5]。
- いつから吐いているか(最初に吐いた日)
- 何回吐いたか(何日のあいだに何回か)
- 吐いた時間と、ごはんを食べてからどのくらい経っていたか
- 吐いたものの中身・色・量(毛玉、フード、液体など)
- 吐く前後の様子や吐き方
- 元気や食欲、おしっこ・うんちの様子
全部を毎回きっちり書く必要はありません。あとから思い出しにくいものから順に、ひとつずつ見ていきます。
いつから・何回
竹原獣医科医院(川崎市)は、獣医師に伝えてほしいこととして「どのくらいの期間に何回くらい嘔吐をしたか」を挙げています[3]。ここは筆者の考えですが、昨日のことは覚えていても、2週間前に吐いた日まで思い出すのは難しいと思います。
日本獣医師会雑誌に載っている獣医師向けの症例問題にも、「以前からよく吐く猫だったが、最近嘔吐する回数が増えた」という来院のきっかけが出てきます[6]。ここからはこの記事からの提案ですが、吐いた日にその都度つけておけば、「増えた」かどうかも、「最初は◯日で、そこから◯回」のように数で伝えられます。
吐いた時間と、ごはんとの間隔
西新宿ペットメディカルクリニックは、確認しておきたいことのひとつに「最後に食べた食事からどのくらい時間が経っているか」を挙げています[4]。電話どうぶつ病院Anicli24の記事では、食後に吐くと食べたものが出てくること、お腹が空っぽのときは液体だけが出てくることがあると説明されています[5]。
吐いた時刻と、その前にごはんをあげた時刻をセットで残しておくと、間隔をあとから計算できます。
吐いたものの中身
Anicli24の記事では、吐いたものの形や匂い、色、異物が混ざっていないかを確かめる、としています[5]。記録としては、まず「毛玉」「フード」「液体」「毛玉とフード」「それ以外」くらいに大まかに分けておくと(この記事での分け方の例です)、あとで数えやすくなります。色や気になった点があれば一言添えます。
写真や動画
竹原獣医科医院は、吐いている様子や吐いたものの量・色を写真に撮っておくと診断のときに役立つ、としています[3]。米国の動物病院グループ VCA Animal Hospitals の記事には、吐いているのか咳をしているのかを獣医師が見分けるのに、その様子の動画が役立つと書かれています[7]。
実物を持っていく場合、ティッシュでくるむと水分が吸われて状態が分かりにくくなるため、ビニール袋やラップ、アルミホイルを使うよう案内している動物病院もあります[2][4]。
吐く前後の様子と、ふだんの記録
東中野アック動物医療センターは、元気があるかどうかや吐く前後の様子も、記録しておきたい内容に入れています[2]。Anicli24の記事では、食欲やおしっこの回数・量・色もあわせて確認する項目として挙げられています[5]。
吐いたことだけでなく、その日のごはんの食べ具合やトイレの様子も同じ場所に残しておくと、受診のときに聞かれても答えやすくなります。
メモの例
書き方の例です(日付や内容は架空のものです)。紙でもスマホのメモでもかまいません。
| 日時 | 吐いたもの | ごはんから | 様子・ひとこと |
|---|---|---|---|
| 9/1 7:40 | フード | 朝ごはんの20分後 | 粒の形が残っていた。吐いたあとは寝ていた |
| 9/4 22:10 | 液体 | 夜ごはんの前 | 黄色っぽい。写真あり |
| 9/9 13:00 | 毛玉 | ― | ― |
| 9/13 6:50 | 液体 | 朝ごはんの前 | 白っぽい泡 |
- 最初に吐いたのは9月1日
- 9月1日から13日までに4回
- フード1回、液体2回、毛玉1回
この例は週に1回より多く吐いているので、コーネル大学の目安では記録を続けるより先に速やかに獣医師に診てもらう頻度で、メモはそのとき伝えるためのものです[1]。
このくらいの表があれば、診察室で記憶をたどらなくても、メモを見ながら答えられます。
続けやすくするために
- 片付けのついでに、その場で日時と中身だけ書く。細かいことは後から足す
- 家族やシッターと世話を分けているなら、記録する場所を1か所にまとめる(誰かが片付けた分が抜けないように)
- 受診のときは、メモをそのまま見せられる状態にしておく
くり返しになりますが、この記事は記録のつけ方についての話です。様子がいつもと違うときや心配なときは、記録がそろうのを待たずに獣医師に相談してください。
NekoLog で記録する場合
NekoLog は猫の健康記録アプリです。吐いたときは、記録の種類から「嘔吐」を選び、「毛玉のみ」「水のみ」「ご飯」「毛玉+ご飯」「その他」の5つから中身を選んで、時刻を選ぶ流れで記録します。メモを書けるのは「その他」を選んだときだけで、写真はアプリに保存できないため、色や様子、写真は紙やスマホのメモ・カメラと併用してください。
記録した日はカレンダーに点が付き、吐いたものの種類ごとに色が分かれます。ごはんやトイレの記録も同じカレンダーに並ぶので、受診のときはその画面を獣医師に見せられます(無料プランで見られるのは直近7日間です)。サマリーの画面では、吐いた日数と回数、最後に吐いた記録がいつかを確認できます。
無料プランでは、カレンダーで見られる記録とサマリーの期間は直近7日間です。それより前の記録を見返すには、有料プラン(にゃんプラス以上)が必要です。期間を決めて獣医師向けのレポート(PDF。吐いた回数と種類の内訳、記録の一覧)を作る機能は、有料プランの「にゃんプレミアム」で使えます。
出典
- Cornell University College of Veterinary Medicine, Cornell Feline Health Center「Vomiting」 https://www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/cornell-feline-health-center/health-information/feline-health-topics/vomiting
- 東中野アック動物医療センター「【猫が吐く】嘔吐の原因、飼い猫が吐いたときの対処法を獣医師が丁寧に解説。」 https://akkh-vmc.com/blog/post-607/
- 竹原獣医科医院「犬や猫が嘔吐したら病院に行くべき?嘔吐の種類や違い、検査の重要性について解説します」 https://takehara-vet.co.jp/blog/blog01/966/
- 西新宿ペットメディカルクリニック「愛猫の嘔吐どうする?対処法と病院受診の目安についても解説」 https://nishishinjuku-pc.com/column/cat_haku/
- 電話どうぶつ病院Anicli24「よくある相談【猫の嘔吐 後編】獣医師が対処法、受診の判断、検査・治療について徹底解説」 https://www.anicli24.com/column/cat-vomiting2/
- 日本獣医師会雑誌 69巻(2016)511〜513頁「獣医師生涯研修事業のページ Q&A 小動物編」 https://jvma-vet.jp/mag/06909/i1.pdf(PDF)
- VCA Animal Hospitals「Vomiting in Cats」 https://vcahospitals.com/know-your-pet/vomiting-in-cats
リンク先の内容は 2026年10月8日に確認したものです。